ここ6年ほどのあいだに日本全国に40ほどの祭事、祭祀などを巡った。
古くから伝承されているそれらの多くは闇のなかで行われることが多いことに気づいた。夜通し行われるものも珍しくない。
その場に身を置いていると、必ず不思議な感覚に襲われていく。目の前の人や風景、光景が裏返ってゆくのだ。現世と異界が激しく反転を繰り返す。時間と空間がねじれ、裏返ってゆくかのようだ。1000年前の隣にいまが、あるいは100年後の未来の隣に100年前の光景が接している。
やがて参加している人たちがマレビトへと姿をかえる瞬間、
闇に亀裂が生じ、私は異界へと吸い込まれる。
そして、ぷっくりと生まれ出でたものを目撃する。