本研究では従来の音楽再生機器であるスピーカーに、息遣いという身体性をもたせたより豊かな音楽メディアの実現を目指し、歌手の息遣いを表現する4つのスピーカーから、アカペラ曲が再生される作品の試作を行った。
この作品は、スピーカー上部に取り付けられた風船が、歌手の息継ぎに合わせて膨張し、発声とともに萎縮する。また、スピーカー下部の穴からは、まるで呼吸しているかのように空気が出入りする。アカペラ曲は、4声それぞれの息遣いの特徴が出やすくなるよう配慮されたオリジナル曲となっており、まるでその場で歌っているかのような感覚を与えることをねらいとしている。