この夏、私の職場である東京工芸大学に関わる人たちの肖像写真の撮影に取り組み始めた。今回は私の研究室に所属する学生5人を対象とした。私の研究室は“肖像写真研究室”である。学生は、普段人物の写真について考え制作しているが、今回は写される立場になってもらった。普段ゼミを通じて身近にいる学生を改まった形でスタジオという場所で撮影し、写真を通じてその“顔”と向き合ってみた。少し不思議な感覚を覚える。肖像写真は人物の顔の記録であると同時に、時として写真に写った人の表情などから、撮影者の思いをも読み取ることができる。大変興味深い。
人間には様々な感情の変化がある。状況の変化によって考え方も変わる。肖像写真を制作するにあたっては、人間と対峙し、その人のどの部分を引き出すことができるのかがカギとなる。その魅力と可能性は無限に広がる。