サグラダ・ファミリアは、アントニ・ガウディが設計したカタロニア・モダニズム建築の代表的な建造物であり、1882年以来、140年近く経つ現在も持続的に建設中です。サグラダ・ファミリアの生誕のファサードは当初から着彩する予定でしたが、ガウディの死後、実行されることなく、その着彩のパターンやデザインは今でも未解明のままです。本作品では未解決の色彩についてAIを用い新たな可能性を提示します。ガウディは複雑な形状に彩色する際、陶器を細かく砕き、モザイク状に貼るトレンカディス技法を多用しました。本作品で用いたAIはセルオートマトンの一種である「ラングトンのアリ」という手法で、格子状のセル内を局所的な規則に従って動くアリをシミュレートした離散的計算モデルで構成されます。モザイクをセルに見立て、ガウディの彩色ポリシーから導き出された7色6階調の色彩を用いて、複雑な生命現象のごとく豊かな装飾を生成します。まるで試行錯誤しながら制作する建築家のように持続的に構造物を着色し続けます。