物質は空間内で濃度の濃いところから薄いところへ拡散し、最終的に均一になります。この状態では面白みに欠けますが、2つの物質が反応しながら拡散するとき、物質の濃淡の波ができ、生物に見られる多種多様な模様が生成されます。これはチューリングパターンとして知られていて、シマウマの縞模様やヒョウの斑模様などがよい例です。反応と拡散のアルゴリズムは、一定の割合で発生する物質U と一定の割合で消滅する物質Vがあるとして、「2つのVと1つのUが反応するとUがVに変化する」というシンプルなものです。この作品では、2つの物質が反応しながら、どのように空間に拡散していくかを反応拡散方程式で表し、コンピュータで物質の濃淡を模様として描画します。物質Uの発生率と物質Vの消滅率を微妙に変化させるだけで、現れる模様は大きく変化します。また、濃度と色のマッピングが時間とともに変化し、模様の色彩に多様性を生み出します。さらに、濃淡の波は、鑑賞者に反応して、模様は刻々と変化します。ミクロなレベルでの反応と拡散の相互作用がマクロなレベルで予測不可能な模様が生成される無限に広がる表現をお楽しみください。