本書には八尾教が共同研究メンバーとして参加した、鳥取大学乾燥地研究センター共同研究「古写真を用いた環境問題研究」における2年間の共同研究の成果が盛り込まれている。コロナ禍の中、現地調査ができない状況下でこそできる共同研究で、数多くの古写真や古絵図を駆使して19世紀末から現在に至るウランバートルの都市の変遷拡大と周辺の自然環境の変化を読み解いている。動物生態学、文化人類学、植生学、建築学および都市計画学、森林生態学、地理学といった様々な分野の専門家の視点から、モンゴル(ウランバートル)における木材利用と森林の変化との関係を時層空間的に浮かび上がらせる新たな試みである。八尾は 「第2章 都市の拡大と木材利用」 および「コラム:首都建設における日本人抑留者」を担当執筆し、19世紀末から20世紀に至るウランバートル(ウルガ)における建築と都市を、木材利用と建設者への視点から読み解いている。