モンゴルの首都ウランバートルでは体制転換後の人口急増によって都市環境が大きく変化しており、なかでも市街地周辺部の「ゲル地区」(遊牧民の移動式天幕「ゲル」に定住する人々の地区)の拡大とこれに伴う環境悪化や社会的分断は深刻な都市問題となっている。
本書では、ゲル地区固有の住まいの文化を総合的に明らかにするべく、建築学、都市計画学、社会心理学、地理学、歴史学、人類学の専門家により19世紀から現代に至る都市の居住管理の研究を行った。本研究によりゲル地区はモンゴルの伝統的生活と近代的都市管理が混淆する固有の特徴をもつ地区であることを明らかにしている。