近年の地震では、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建築物が崩壊・倒壊する例は比較的少ないが、多くの建物で天井などの非構造部材や設備の損傷がみられ、死亡者も発生している。また、建物に構造的な損傷がなくても非構造部材や設備が損傷すると、居住や営業ができなくなるなど、建物としての機能が失われるため、多大な経済的損失となる。
ここでは、筆者が調査団のメンバーとして行った東日本大震災や熊本地震における建築設備被害の調査の内容を紹介するとともに、建築設備被害調査の特徴と問題点および今後の調査において改善すべき事項について述べる。