本発表では、授業研究の分野で使われる「発問」という
概念について、日常的に使われている「質問」とはどのよ
うに区別されるべきものなのかに着目する。そして、質問
と発問の違いについて、語用論及び心理学の視点から検討
することを目的とする。
第2章で、重光と小沢が、発問の定義、知見の整理をし、
現在の学校教育の状況と合わせて検討する。特に、授業と
いう特別なコンテクストにおいて、どのように使われてい
るか、授業中の発問はどのように用いられるのが効果的か、
また教師の教え方の上達において、発問が重視されてきた
ことを概観する。第3章では、重光が一般に使われる「質
問」との異なりについて応用言語学、とくに語用論の視点
から論じる。第4章では、小沢が発問と質問を対比させな
がら、学び手である児童・生徒・学生に何を求めているの
かを、心理学的視点から論じる。そして、発問と質問を発
する教師における役割の違いについて論じる。