本研究の目的は,Nagle(2013)の提示した指導原理に適合する教材の持つ要素を明らかにすることである。この目的を果たすため,二つの研究課題を設定し,教材の比較と中学校関数授業の事例を分析した結果,次のことが明らかになった。教材には,課題解決のため生徒たちがグラフを使用した活動を促し,動的プロセスとしての見方だけでは数学的な解釈や説明ができない,生徒たちに静的対象としての見方の変更を余儀なくさせる要素があること。そして,見方の変更によって生じた予想を表の使用によって確認できる二段階の活動を踏むことが教材の要素として示唆された。