中国大陸で春秋・戦国時代に用いられた装飾的な書体である「鳥蟲書(ちょうちゅうしょ)」の曲線が,竜への信仰に関わっている可能性を示した。竜は青銅器文様をはじめ,神聖なモチーフとして多用されている。鳥蟲書の造形もまた,曲線的に歪められた字画や,重心が高く不安定なプロポーションが竜の動きを抽象していると考えられる。同時に,鳥蟲書の造形を展開したオリジナル書体を制作し,鳥蟲書の造形が現代の書体デザインにも応用できることを示した。