私たちと自然は切っても切れない関係にある。私たちは自然の一部などと、自然は私たちの感性や生理、生き方に影響を与えているなどと言われる。それら相互の関わりは、続く営みのなかで、時代とともにある。その関わりを表す言葉のひとつに「市中の山居」があった。私たちは、自然に接し、その中にいると、一時的にくつろぎ感や心地よさなどを得て、ストレスなどが軽減される。その実感をもたらすのは様々な自然素材である。しかしながら、それらは時代とともに在り方が変わっている。現在は、その見直しが迫られてもいる。本研究は、私たちに身近な家具などにおける自然素材に多様性や可能性などを見い出し、価値や役割などを高め、これからの私たちと自然の新たな関係としての「市中の山居」へ向けた空間づくりを目指す。