2次元のCGに複素数を用いる利点にはおおよそ二つがある。一つは算術的に強力で、かつ簡便なことである。もう一つは代数論(特に代数的整数論)のしっかりとした体系があることである。
コンピュータの高速な複素演算を利用した再帰図形の作図は、従来から行われてきたことであるが、本報告では、この演算に群論的・整数論的な制約を加えることで、空間の充填という興味深い結果が導かれることを示す。ドラゴン曲線やペアノ曲線などの空間充填曲線と呼ばれる図形の難解な性質も、整数論的な議論を経て初めて理解され得る。即ち空間充填曲線と、本報告において複素数に拡張されたn進法とが極めて密接な関係にあることを示す。